自動車・産業向けなど成熟ノードも対象
このほか、CHIPS法の特徴として見逃せないのは、先端分野だけでなく成熟ノード(数十nm以上の「先端ではないプロセス技術」で製造される半導体の世代)の国内生産支援にも重点を置いている点です。
具体的には、テキサス・インストゥルメンツ(米国)などのアナログ半導体大手にも支援が行われています。テキサス・インストゥルメンツは、電源ICやアナログIC、センサーなど、産業や車載部品の基礎を支えるチップを幅広く手掛けています。コロナ禍にはこれらのアナログ半導体の供給不足が世界の製造業を直撃し、各地で工場停止や納期遅延を引き起こしました。
その反省から、米商務省はテキサス・インストゥルメンツに対して16億1000万ドルの補助金支給を決定し、同社はテキサス州とユタ州に300mmウェーハ対応の新工場を建設する計画を進めています。総投資額は180億ドルに及び、成熟ノードの米国内供給基盤を大きく強化するものになります。
米国の意思決定はやはり秀逸
ちなみに、コロナ禍における半導体メーカーの供給ストップは本当にシビアなものでした。筆者(新川)は半導体商社を経営していますが、半導体の納期は普段2~4カ月くらいのものです。それが、コロナ禍の当時には一気に6カ月となり、じきに1年となり、最終的には納期未定となりました。
それまでにも納期が延びることは経験していましたが、ここまでたいへんだったのは初めてで、今後、同じことを繰り返さないように設備拡大を即決する米国の意思決定はやはり秀逸だと感じます。
このようにCHIPS法は、AI向けGPUなどの最先端半導体チップだけでなく、車載・産業機器・家電などに使われる半導体汎用チップ(マイコン、パワー半導体、アナログICなど)の米国内供給能力も底上げすることを重視しています。

