収入を増やすにはどうすればいいか。『裏OLはうまいこと夢をかなえる最強の働き方である』(プレジデント社)を書いた中谷美奈子さんは「人生を賭けて大きく稼ごうとするのではなく、まず会社以外の選択肢をつくることが大切だ」という――。
オフィスで会話するビジネスウーマン
写真=iStock.com/lielos
※写真はイメージです

副業で大事なのは「いくら稼げるか」だけじゃない

私が主宰するセルフブランディング講座の生徒さんに、小さな子どもを育てながら動画編集の副業を始めた女性がいました。始めた理由は、生活費を増やしたいことと、将来につながる技術を身につけたいこと。仕事そのものは嫌いではなく、やりがいも感じていたそうです。

しかし、現実は過酷でした。昼間の仕事と家事を終え、子どもを寝かしつけてからパソコンを開く。納期に追われ、作業が終わるのは深夜です。慢性的な睡眠不足で、いつ会っても疲れ切っていました。それでも「せっかく始めたのだから」とやめられずにいたのです。

そこで私は、「実際の作業時間で計算すると、時給はいくらになりますか」と尋ねました。答えは1000円未満。さらに、家族のために始めた仕事が、子どもと過ごす時間まで奪っていることにも気づき、彼女はその副業を手放しました。

もちろん、副業そのものが悪いわけではありません。問題は、空いている時間を売れば安心が買える、と思い込むことです。とくに40代は、仕事に加えて家事や育児、親のことまで背負いやすい時期です。収入が少し増えても、体力と時間を使い切れば、続けられなくなる不安が増えてしまいます。「いくら稼げるか」だけでなく、「その働き方の先に何が残るか」を考える必要があります。

40代・未経験の転職は「ほぼ全滅」

40代前半で、長く勤めた医療業界を離れ、人材教育の仕事に挑戦しようとした友人がいます。「私には、別の可能性があるかもしれない」。そう考え、思い切って未経験の業界へ応募しました。ところが、結果はほぼ全滅。採用する側から見れば、彼女は「未経験で、実績のない40代」だったのです。

最終的に彼女は、経験を生かせる別の医療関係の会社へ転職しました。しかし、給与や待遇が大きく上がったわけではありません。転職後に会った彼女は、「結局、自分にはこれしかないんだよね」と、寂しそうにつぶやきました。新しい可能性を探すための転職が、かえって自分の限界を突きつける経験になってしまったのです。

転職によって環境も収入も好転する人は、もちろんいます。ただ、会社を替えれば、お金の不安が自動的に消えるわけではありません。給料も評価も居場所も、一つの勤務先に預ける構造は変わらないからです。しかも転職は、新たな勤務先に入社するまで人間関係や働き方の実態が分からないリスクがあります。新しい環境が自分と合わなかったときにやり直す心身の負担も、年齢とともに大きくなります。

だからこそ、今の会社を辞める前に、社外で自分の経験が誰に、どんな形で求められるのかを小さく試す。その反応を確かめてから次を選ぶほうが、40代には現実的なのです。

居間で頭を抱える女性
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです