「Booking.com経由では届いていない」
しかし、この女性のベルン到着予定時刻は18時30分ごろ。そこで1週間ほど前からBooking.comのメッセージ機能を使って施設側に「18時以降でもチェックインできるか」と複数回問い合わせしたが、返事はなかった。Booking.comのカスタマーサービスにも宿泊施設と連絡が取れないと相談したが反応はなかったという。
ところが宿泊当日の午後になって、宿泊施設から突然、入口ドアの暗証番号だけが送られてきた。改めてチェックイン時間について問い合わせたものの返信はなく、今度は宿泊施設の公式ホームページに掲載されていたメールアドレスへ直接連絡したところ、すぐに「18時以降でも問題なくチェックインできる」と返事があったという。さらに施設側からは、「Booking.com経由のメッセージは届いていなかった」との説明もあった。
「あまりにも連絡がつかないので、もしかしたら宿泊施設自体が存在しないケースかもしれないと思いました。最悪の場合、現地で別のホテルを予約することも覚悟していました」
今回、筆者が根室で遭遇した「予約サイト側の処理によって宿泊予約がキャンセル扱いとなったケース」とは事情が異なるものの、予約サイトが介在することで宿泊施設と利用者との意思疎通がうまくいかなくなるという点では共通している。
旅の「見えないインフラ」が抱える課題
このようなトラブルが起きていることに関して、Booikng.comの広報窓口に「どのような認識で、今後どのような改善策を考えているのか」と取材を申し込んだが、期日までに回答を得ることはできなかった。
今回、根室で遭遇したトラブルは、中国人旅行者のマナーの問題でもなければ、宿側の対応の問題でもなかった。双方とも予約サイトのシステムを信頼して利用した結果として起きた行き違いだったのである。
宿泊予約サイトは、多言語で世界中の宿を簡単に予約できる便利な仕組みだ。その一方で、宿泊客と宿泊施設との間に予約サイトという第三者が介在することで、情報伝達の遅れや認識のずれが生じるリスクも抱えている。
インバウンド旅行者が4000万人を超え、日本人も海外旅行で予約サイトを利用する時代となった今、トラブルを完全に防ぐことは難しい。だからこそ、宿泊者は予約完了だけで安心するのではなく、宿の所在地や連絡先を事前に確認し、必要に応じて直接連絡が取れる手段を確保しておくことが重要になる。
根室のゲストハウスで起きた一件は、観光立国を目指す日本において、旅行者と宿泊施設をつなぐ「見えないインフラ」の課題を浮き彫りにした出来事だった。
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