旅行、出張、慰霊など目的はさまざま

玄関を入ると共用部となるリビングでは、複数の宿泊者が宿のオーナーを囲んで宿泊手続き中で、筆者もその輪の中に入って宿泊手続きを終えた。

宿泊者は、群馬県から「大人の休日倶楽部パス」を使って北海道を訪問したという60代男性や、根室に出張で訪れたというビジネスマン、北方領土洋上慰霊の参加者や中国や韓国から根室にやってきたインバウンド旅行者などさまざまだ。さらに、インバウンド旅行者については、パスポート番号を控えるなど厳格な身分チェックが行われていたことも印象的だった。

その後、共用部となるリビングでは、宿に備え付けられていたセルフドリンクを飲みながら、旅行者同士の談笑が始まり、各地からやってきた旅行者からさまざまな話を聞くことができた。ゲストハウスの徒歩圏内には飲食店が見当たらなかったことから、近くにあったご当地コンビニエンスストアで食料を調達。そのまま夜を迎えることになった。

宿泊キャンセルに怒るオーナーと困る客

筆者のルームメイトとなったのは、30代男性の中国人旅行者だった。軽く挨拶を交わしたものの日本語が分からないようだったので、カタコトの英語で話しかけたところ英語については分かる様子だった。

そして、筆者が眠りに着こうとした22時ごろになって、いったい何事かと思うようなけたたましいノック音が聞こえたのだ。カーテンを隔てた先にいる中国人旅行者は、ノック音に反応を示す様子がなかったことから、筆者がドアを開けたところ、そこにはゲストハウスのオーナーの姿があった。

木製のドアをノックする業者
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです

「ちょっと、あなたのルームメイトを呼んでくれるかな」

筆者は、カタコトの英語で、

「“The owner of the inn is calling for you.” (ヤドノオーナーガヨンデイマスヨ)」

と伝えたところ、ようやく起き上がってくれた。

するとオーナーは、

「キミの予約、今、キャンセルになったんだけど、どういうこと⁉ 説明して!」

と声を荒げたことから、日本語が全く理解できない中国人旅行者は軽いパニック状態に陥ってしまった。

もっともオーナーが声を荒らげたところで相手に言葉は通じない。オーナーは日本語しか話せないのだ。そうしたことからお互いにスマートフォンの翻訳アプリを使いながら、必死の意思疎通を図り始めた。