頭を下げて工面した280万円の破産費用
「もう駄目です、うちは倒産しました、じゃ終わらないから」
破産申立に必要な予納金は法人分が100万円、個人分が50万円。弁護士費用と諸実費を合わせて280万円。これが工面できなかったら潰すに潰せず放置逃亡するしかなかった。
「会社の金庫は空っぽ、当座預金の残高は数千円。わたし個人の資産もほとんど吐き出していたので工面できなかったんです。子どもたちが50万円ずつで100万円出してくれたのですが、足りない分は恥を忍んでわたしの妹と義兄に支援を仰いだわけで」
事情が事情なだけに助けてもらえたし、返済についてはあるとき払いの催促なしで良いと言ってくれたが、厚意に甘えるわけにはいかない。
「身内、親族だからこそ、お金のことはきっちりしないと駄目でしょ。返さない、返せないでは自分の負い目にもなるから」
妹と義兄への返済が4万円ずつで計8万円。給料が振り込まれたら、いの一番で送金する。
「それでもわたしと家内の収入を合わせると手元に30万円ぐらい残るから、日々の生活はつつがなく送れています。贅沢とは無縁だけど、食べるものに困るとか具合が悪くなっても病院へ行けないなんてことはない」
給料日後のスイーツが夫婦の贅沢
今の贅沢は、給料が出た翌日、仕事終わりにケーキや豆大福を買ってお土産に持って帰ること。妻の給料が出た週末は、奮発してデニーズかサイゼリヤへ行ってちょっと値の張る夕飯を楽しむこと。
「この歳になって嫁さんとデートってわけじゃないですよ。それぞれの職場での話とか、来年は扇風機を買い替えようとか、どうでもいい話です」
たまに子どもたちも合流することがあり、仕事の悩みや愚痴を聞いて多少なりとアドバイスするようなこともある。こういうことは会社を経営していたときにはまったくなかった。
「気にしているのは健康のことです。手術しなければならないとか長期の入院が必要な病気にはなりたくない」
医療費だけは高額医療費制度を利用すれば一定額で済むが、差額ベッド代などの入院費は払えない。それに数週間病欠したら雇い止めになってしまう危険があるから。あとは奥さんを怒らせないこと。自分のせいで迷惑をかけたし苦い思いをさせてしまった。またしくじらないようにしなくては、と強く思っている。
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