借金を整理して、57歳で再起

助かったのは、危ない筋からの借入れがなかったこと。事業者金融や手形金融に手を出さなかったのは幸いだった。

「自己破産を申請し、裁判所で決着がついたのが年末でした」

ほとんどの中小企業経営者がそうであるように、佐野さんも会社名義の借入れに個人で債務保証を打っていたので、個人的な資産はあらかた持っていかれた。

「法的な整理が完了したあとは、しばらく仕事をする気にならず腑抜けた状態でした」

家(マンション)は任意売却して弁済に充当したため、長屋式のアパートに転居。3カ月ほどは夫婦でアルバイト的な仕事をしてわずかな収入を得ていた。

「ずっと高齢フリーターじゃ不味いでしょ。息子も娘も学校を卒業していたし、負債は免責されて身軽になった。妻と2人で暮らす収入があればいいかなと思って職探しを始めたわけです。仕事をすれば社会と接することもできるし」

初めてハローワーク通いをして約1カ月で決まったのが現在の仕事。当時の年齢は57歳で、会社を潰して自己破産したという経歴を考えたら、運が良かった方だと思う。

デスクワークに疲れた男性労働者
写真=iStock.com/yamatatsu
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時給1200円+1時間残業で月収27万円

「仕事内容は家電製品、ゲームソフト、書籍、自転車などの仕分けと梱包です。バーコードを読み取って、ピッキング、梱包して指定の場所に集める。出荷するためにトラックに積み込む。こんな感じです。特に難しいことをしているわけじゃない」

勤務体系は3部シフト制だが、人手不足の影響から残業が毎日1時間。

「いまのところは4週6休ですね。出勤日は会社カレンダーで個々に決められています」

収入的にはどうかというと、時給1200円、残業が25時間として月収27万円前後。手当の類はないが夏と冬には若干の慰労金も出るということで、去年の年収は330万円と少し。

「社会保険にも加入しているし、交通費も月1万2000円までは支給されます。請負会社の契約社員にしてはいい方だと思いますよ」

奥さんも新規オープンした大型スーパーの契約社員となり、販売・接客とレジなどの仕事をするようになった。その月収が約21万円、夏冬の慰労金込みの年収が260万円あるというから、夫婦2人の生活は十分に賄えている。

「毎月の手取りだとわたしが22万円、妻が16万円ぐらいですかね。だけどここから借金の返済をしていまして」

この借金というのは、倒産した会社を法的に清算するのにかかった費用と、個人の自己破産・免責申立に必要だったお金のこと。