正論が「拒絶の壁」をつくるブーメラン効果
相手のことを思いアドバイスしたり、熱心な勧めが仇となり、結果として相手の意図とは真逆の方向に突き進んでしまう現象があります。これを心理学で「ブーメラン効果」と呼びます。
投げたブーメランが自分の方へ戻ってくるように、良かれと思ったアドバイスなどの言葉が、反発という形で跳ね返ってくるさまから、「ブーメラン効果」と名付けられました。
子どもが自分から机に向かおうとしていた瞬間に、親から「いつまで遊んでいるの! 早く宿題をしなさい」と強く叱られると、子どもは急にやる気を失い、「今やろうと思っていたのに、もうやらない!」と反抗的な態度をとることがあります。
これは、親の指示が子どもの「自分のタイミングで行動する」という自由を奪ってしまったために起こる反発です。また禁煙や禁酒を強く勧め、タバコや酒の害を執拗に説き伏せようとすればするほど、相手は「自分の生活習慣を否定された」と感じ、ストレスからかえって喫煙数や酒量が増えてしまうといった事態を招きます。
説得する側に正義があり、内容が正しいものであったとしても、「強制」として受け取られると、相手の心には分厚い拒絶の壁ができてしまうのです。
北風ではなく太陽のアプローチ
ここでも「心理的リアクタンス」が起こっています。他人の強い説得によって自分の選択肢が狭められたと感じると、脳はそれを大切な自由への「侵害」と見なし、不快感を覚えます。
その結果、あえて説得とは反対の道を選ぼうとするのです。この心理は日常生活でもよく見かけます。例えば、店舗で店員から「今買わないと絶対に後悔します」「今すぐに決めてください」と強引に畳みかけられると、商品の良し悪しにかかわらず、その場から逃げ出したいような不快感を抱きます。
消費者は「買わされる」ことを嫌い、「自分の意志で納得して買った」という実感を求めているからです。
また、会社の会議などで上司が一方的に結論を押し付け、部下の意見を聞かずに強引に話を進めると、部下は表面上は従っているように見えても、内心では不満を募らせ、実行段階で非協力的な態度をとるようになります。
「ブーメラン効果」を回避するためには、相手に「選ぶ余地」を与えることが重要です。北風のように強く吹き付けるのではなく、太陽のように相手が自ら上着を脱ぎたくなるようなアプローチを心がけることが、心のブーメランを回避する知恵といえるでしょう。
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