ハイテク都市に誕生した新しい住宅街

ライトラインの開業と同時並行で、宇都宮駅の東側は大規模な開発が進められた。宇都宮駅東口には公共施設・商業施設・病院などが誕生し、沿線には飲食店や小売店などが並ぶようになった。これらは明らかにライトラインによってもたらされた効果といえる。

ライトラインの整備とともに宇都宮東口は再開発されて、大型商業施設や公共施設が立ち並ぶエリアに変貌した(2026年8月撮影)
撮影=小川裕夫
ライトラインの整備とともに宇都宮東口は再開発されて、大型商業施設や公共施設が立ち並ぶエリアに変貌した(2026年8月撮影)

しかし、開業によって沿線の都市化が目立っているのは今のところ宇都宮駅東口―平石間にとどまる。

そもそも平石―芳賀・高根沢工業団地間は栃木県・宇都宮市が取り組んできた工業化を体現したようなエリアで、ライトラインの車窓からも事業所群を見ることができる。そのため、市街地開発や宅地化の余剰は少なく、同区間は明らかに沿線に立地する事業所への通勤路線と化している。

平石―芳賀・高根沢工業団地間は、沿線に立地する事業所のための路線という趣が強くあるものの、例外的な区間もある。先述した1980年代に構想された宇都宮テクノポリスは、ゆいの杜という名称で住宅地も一緒に造成された。

本稿の執筆にあたって同地を訪れてみると、公園を中心に周囲に戸建住宅などが並び、そしてニュータウンを取り巻く外周道路に沿って研究機関や出張してきた人が宿泊するビジネスホテルが立地するという、それまでのニュータウンとは異なる街区となっていた。

休日も利用してもらうための工夫

ゆいの杜はライトラインを見越して開発されたニュータウンではないが、同エリア内にはライトラインの停留場が3つ開設されている。それだけにニュータウン住民の足として利用され、行政もそれを期待していることが窺える。ただ、ニュータウン住民は必ずしも沿線の事業所へ通勤する労働者ではないようだ。

ゆいの杜のようなエリアはあるが、だからといってライトラインの平石―芳賀・高根沢工業団地間を利用している大半は沿線の事業所に勤務している人たちで、同区間に沿線外需要を創出できるような集客施設は栃木県グリーンスタジアムぐらいしか見当たらない。

同スタジアムはJリーグに加盟する栃木SCがホームスタジアムとして使用しているが年間の試合開催数は少ない。公共交通は、地元住民のためというのが第一前提だが、先細る人口を考えると、来街者の取り込む努力は欠かせず、栃木県グリーンスタジアムのような沿線外需要を生み出す集客施設は足りない。

沿線開発の機運を沈静化させないように、行政は民間企業と連携しながら沿線開発を続けることになる。

そして、2026年3月に平石停留場の北側に東部総合公園(アークタウン宇都宮)がオープンした。それまでの平石停留場周辺は住宅地と農地が混在するエリアで、わざわざライトラインに乗って沿線外から訪れるような場所ではなかった。

平石停留場の北隣にオープンしたアークタウン宇都宮(2026年8月撮影)
撮影=小川裕夫
平石停留場の北隣にオープンしたアークタウン宇都宮(2026年8月撮影)