脳は、予測を放棄できる作業を選ぶ

他にやりたいことがあるのに何時間も費やしてしまう動画視聴。

この作業にも、ちゃんと意味があります。それは、予測の休止です。

新規の企画立案、相手の意図が読めないメールへの返信、どう対応すればいいかわからない顧客からのクレームなど、先の展開が予測できない作業が立て込むと、脳の予測は外れ続けて予測エラーのアラートが鳴りっぱなしになります。

行動は後手に回り、動けば動くほど新たな予測エラーが生まれて収集がつきません。これは、とても負担が大きいです。

また、職を失ったり病気になるなど、将来設計に大きな変化が起こると、年単位の長い見通しも立たなくなります。すると脳の予測はぐるぐる同じところを回るだけで、「この先どうなっちゃうんだろう」という不安から抜け出せません。

予測にエネルギーを費やしても、それが実らない。

この状況に陥ると、脳は、予測を放棄できる作業を選びます。

動画は情報を得るのをやめるのに見ている

動画を見ているときは、何も考えずに済みますよね。

内容に集中しているようでいて、内容は気に留めず「心ここにあらず」という感じです。情報を得ているのではなく、情報を得るのをやめるために見ているという感覚があると思います。

脳は何かに没入していると予測ができなくなるので、動画を使って予測を止めているのです。無意識のうちに画面に近づいたりイヤホンを使うなどして、没入感を増加させることもあるでしょう。予測エラーの嵐で疲れてしまうと、より没入することを求めます。

これは、脳を守る行為です。

私たちを誘惑する作業は、脳を現実から避難させる作業といえます。

報われない予測からいったん避難し、距離を置きます。

「あるべき姿」への推理が浮かばなくなった脳が、いったん事件から離れて、別の角度から新しい推理が浮かぶのを待っています。

この意味で、誘惑は避難作業なのです。

停止した思考は、時間が経てば再び動き出し、新しい推理が浮かんできます。それに伴って、避難作業の意味も変わっていきます。

現時点の避難作業の意味を自覚すると、脳が予測を再開し、エラーを利用して予測を更新できる時期が見通せます。

避難作業の意味は、次の方法で簡単に自覚することができます。

紙に横一直線を引き、左端が「考え(気持ち)が整理される」、右端が「何も考え(感じ)なくなる」として、今の自分にとって避難作業がどこに位置するか、ポイントしてみましょう。右に寄るほど、先の予測が難しく思考が停止しています。

このポイントは、日々変化します。例えば、作業の進め方がわからないときは右に寄りますが、ヒントを得て着手し始めると左に寄っていきます。