商品は「プッシュ」型でなく「プル」型で入れる
商品発注に関連して、こんなこともありました。アイスクリーム類については在庫をバックヤードに保管できないため、メーカーの担当者が来店して、売れた分を補充するやり方が続いていて、私もそれが合理的だと思っていました。
これに対し、鈴木さんの判断で加盟店からの発注制に変えることになりました。すると、「発注した商品がアイスケースに入りきらなかったらどうするのか」「売り切れて欠品したら困る」等々、オーナーさんたちから大ブーイングの声が上がります。それでも、発注制に変えてみると、気温が摂氏25度くらいを境にアイスクリーム系と氷菓系の売上げが逆転する、春先はバーものが売れ、夏に向けてカップものに移っていくなど、傾向がわかるようになり、売上げはメーカーによる補充方式より伸びていきました。
セブン‐イレブンでは、メーカーが売ろうと思うものを売るという、川上(メーカー)から川下(顧客)へと押し出す「プッシュ型」であってはならない。顧客が求めるものを求めるときに求めるだけ提供することで、川下の需要を起点に川上へと引き上げる「プル型」でなければならない。アイスクリームの発注制への転換は、鈴木さんの説くコンビニ経営の基本を徹底するためだったのです。
経営の根本は「単品管理」
POSシステムに関して、より衝撃的だったのは、OFCを数年務めて、ディストリクトマネジャー(地区責任者)になったころのことでした。鈴木さんから、「POSデータのうち、前の週のデータを消す」との驚くべき方針が示されたのです。データは記録として残すものというのが常識であったのに、なぜ、消去するのか。原因は加盟店側の発注の仕方にありました。
例えば、今日が月曜日で明日の火曜日のための発注をするとき、前の週の火曜日の販売状況のPOSデータをもとに、量を多少ブラスマイナスして発注していました。
発注は、単品ごとに明日の売れ筋商品について仮説を立て、発注し、販売の結果をPOSデータで検証する。この仮説・検証を繰り返すことで発注の精度を高めていき、商品の機会ロスと廃棄ロスを最小化して利益を上げていく。鈴木さんは、これを単品管理と呼び、セブン‐イレブンの経営の根幹に据えていました。

