吊り上げているのは誰か

では誰がコメ騒動を引き起こし、コメ価格を吊り上げてきたのか。

犯人は、JA農協と農水省である。

減反をしないで潜在的な生産量である1000万トン生産し、国内消費を除いた300万トンを輸出していれば、多少、生産が減少しても輸出を減らすだけで国内への供給を減らすことはない。令和のコメ騒動の根本原因はJA農協と農水省が推進してきた減反である。

減反は生産を減らすことに補助金を与えて米価を高くする仕組みである。(輸出が行われれば)1100円(玄米60キログラム当たり)となる米価を1万5000円程度に引き上げる。

さらに、25年産には、JA農協に都合がよい特殊な事情があった。放出した備蓄米を政府(農水省)が買い戻すに違いないという予想である。

『コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪』(宝島社新書)
『コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪』(宝島社新書)

生産が増えてもそれ以上に在庫を増やせば、市場に供給する量を減少させてコメの値段を上げられる。JA農協は増やした在庫を政府が備蓄米として買い入れることで肩代わりしてくれると予想して在庫を増やすことができた。

だから一時、JA農協は24年産よりも高い概算金を提示し、25年産米の相対価格は、出回りから26年6月までの年産平均(速報値)で3万5573円という史上最高水準に達した。概算金が高くなったから相対取引価格が高くなったのではない。在庫の積み増しで高い相対取引価格を実現できると思ったから、概算金を上げたのだ。主犯はJA農協で、共犯は備蓄米を買い入れようとする農水省である。しかも農水大臣は農協ファーストの農林族議員である。JA農協の想定した範囲内で事態は動いていた。

ところが、高市官邸は物価対策から備蓄米買い入れに難色を示した。政府が買い入れないならJA農協のシナリオは崩壊する。慌てたJA農協は備蓄米買い入れの陳情を展開しだした。

市場心理が真犯人なのではない。

JA農協が供給を絞り、農水省が政策によってそれを支える構造こそ、豊作でもコメ価格が下がらない原因なのである。

(初公開日:2026年8月11日)

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