要求を通したいなら、最初に肯定しやすい話題を
たとえば、相手が姿勢を変えたら自分も座り直す、相手が笑えば同じタイミングで笑うといった具合です。これによって相手は無意識のうちに「この人は自分に似ている」と感じ、親近感や信頼感が高まっていきます。ここまでは一般的に知られている「ミラーリング」です。
このミラーリングに加えて、もうひとつのポイントは相手に「うなずかせる」ように会話を進めることです。たとえば、「今日はいい天気ですね」とか、「最近、物価がずいぶん上がりましたよね」といった、誰でも肯定しやすい話題を選びます。
これは「YESセット法」と呼ばれるテクニックで、「はい」と答えやすい質問を続けることで、人は別の提案にも「はい」と答えやすくなることが知られています。ここでは単に肯定させるだけでなく、「うなずく」という動作をさせることで効果を確実なものにします。
もし相手の反応が薄いと感じたら、あなた自身が大きめにうなずくことで、相手のうなずきを誘導しましょう。ミラーリングによって、相手はすでにあなたの動作に同調しやすい状態にあります。本題に入る前に「一緒にうなずく」空気をつくることが、決断を迫るうえでの下地になるのです。
何度もうなずくとNOと言いにくくなる
うまくうなずきを引き出せたら、その流れを切らないように本題に入ります。
「先日お送りした資料、ご覧いただけましたか?」
「前回の打ち合わせは3週間ほど前でしたね」
――こうした、答えが「YES」になりやすい話題を続けてください。
そして最後に、たとえば「この条件なら、お互いにとってメリットがあると思うのですが、いかがでしょうか?」と核心の提案を持ちかけます。ここまで何度もうなずいてきた相手は、断ることが非常に難しい心理状態になっているのです。
心理学者リチャード・ワイズマン博士の研究でも、動作が感情や思考に影響を与えることが明らかにされています。「認知的一貫性の原理」と呼ばれる法則です。
人は自分の行動と考えに矛盾があると不快に感じ、それを整えようとする傾向があるというものです。うなずく動作をすることで、脳が「自分はこれに同意している」と認識し、それに合わせて思考も肯定的になっていきます。その結果、相手は「NO」と言いにくくなるわけです。
言葉での説得だけでなく、「体の動き」(=うなずき)を通じて相手の心に影響を与える。たった一つのシンプルなしぐさが、あなたの話に「信頼」と「納得感」を与え、相手の決断を大きく動かす武器になります。
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