総合力を5つ星で評価
●自動車
――韓国、中国企業との差別化が課題
超円高の影響を大きく受け、「危機克服力」の評価が低く出ているが、今後も成長産業であることに変わりない。世界の自動車販売台数1億台突破も確実視されている。ただし、単なる完成車メーカーでは、価格競争で韓国、中国などの新興企業の追撃を許すのは必至。環境車に加え、自動車ファンを魅了する車の開発も鍵になる。
●電機・半導体
――利益なき繁忙で「安定性ワースト」に
売上高が生産設備(有形固定資産)の7倍を上回る企業もあるように、自社工場の稼働率や外部委託で特別な問題点は見当たらない。ただし、利益なき繁忙状況が長期化。稼げる商品の開発、経営資源を集中する事業の選別が今後のキーポイントになる。各社とも数年来M&Aなどでグループ社員を増加。成長への布石としたいところ。
●造船重機・建機・プラント
――危機克服力に優れる三菱重工、コマツ
造船重機の三菱重工業と住友重機械工業、それに“断トツ”商品を抱える建機のコマツの危機克服力が光る。他社も追随したいところ。造船重機各社の国内工場比率は8~9割と、国内雇用を支える一翼を担っているだけに踏ん張りどころだ。プラントメーカーは、遅れている売上高の回復テンポのスピードアップが不可欠。
●電子部品・自動車部品
――グローバルで評価高く、成長への期待大
グローバル市場で高シェア商品を抱える企業群で構成されている両業界。自己資本率が分厚い企業が多いだけに、リーマンショックや超円高もどうにか克服し、将来の成長に向けた投資活動にも前向きと、今後の成長も期待できる業界だ。スマートフォンなどのエレクトロニクス商品や自動車に加え、航空機向けなどの拡大が課題。
●精密機器・医療機器・工作機械
――将来に向けた積極投資が目立つ
精密機器と工作機械は国内各社が世界をリード。今後の成長分野である医療機器では、世界大手に劣る売り上げ規模の拡大がテーマに。キヤノン以下、主要各社はグループ従業員を増員。リストラ余力が拡大しているというよりは、投資活動を含め将来に向けた積極的な姿勢といっていい。ダウンが顕著な給与の回復が待たれる。