財政悪化で公務員の給料も払えない
昨年11月の高市首相の答弁の後、中国は急速にわが国に対する批判を強めた。その背景には、いくつかの要因が考えられる。
まず、中国は、答弁は“一つの中国”の原則に反すると強硬に批判した。中国は台湾を自国領であり、祖国統一は妨げられない悲願であると主張している。米欧諸国は一つの中国の原則を尊重する考えを示してきた。習政権は、高市首相の答弁はその原則を無視したと見たのだろう。
また、中国国内の不満を海外に向かわせる意図もうかがえる。不動産業界では、かつて中国最優良デベロッパーだった、“万科企業”の社債がデフォルト(債務不履行)した。今のところ、不動産価格下落に歯止めはかからず、地方政府や家計の財政状態は悪化した。国有・国営企業や就職希望熱が高まった公務員まで、給与の支払い遅延、未払いが発生している。
レアアースを武器に日本を困らせる作戦
中国政府は、対日強硬姿勢を強めて市民の怒りを軽減するため、その矛先をわが国に向ける意図があるとの指摘もある。そのため、中国は国際社会での賛同国を増やそうとしている。昨年12月、中国はフランスのマクロン大統領を厚遇し、対日批判で連携を求めた。
1月5日、韓国との首脳会談で、中国側は日本が一線を越えたと強硬姿勢を鮮明にしたようだ。その見返りとして中国サイドは、K-POPなど韓国カルチャーに対する事実上の禁止措置の解除も提案したと報じられた。韓国へのパンダ貸与も示唆したという。
中国が韓国の懐柔を画策する背景には、アジア極東地域における影響力拡大の意図もあるだろう。昨年12月、トランプ政権は国家安全保障戦略(NSS)で、中南米への覇権強化を重視する姿勢を示し、中露と戦略的な安定関係を優先する方針を示した。わが国として、独自に経済・安全保障体制を確立する必要性は高まっている。
そして1月6日、中国はわが国に対して、レアアースなど軍民で利用可能な品目の輸出管理規制を強化した。その直後、わが国産業全体を対象に、レアアース輸出審査を停止したとの報道が出た。中国は、わが国からの食品などの通関手続きを、意図的に遅らせているとの見方もある。中国は、対日貿易の規制を強化し始めたと考えるべきだ。

