酢には代謝を改善する効果も

インスリンは、単に血糖値を下げるだけでなく、肝臓での脂肪酸合成を強力に促進するホルモンでもあります。体内でエネルギーとして使いきれない余分なブドウ糖は、インスリンの作用によって肝臓で脂肪酸に変換され、それが中性脂肪として血液中に放出されます。

つまり酢を飲んでいないグループ内で見られたより高い血糖値とそれに伴うより高いインスリンレベルは、肝臓での脂肪酸合成を活発化させ、結果として血中の中性脂肪値が上昇することになります。このように単に酢を服用することが、大きな代謝の変化を誘導することになります。

太ったおなかにメジャーを巻きつける
写真=iStock.com/Alona Siniehina
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酢が持つこの代謝改善効果、血糖改善効果のメカニズムは以下の2つの機序によって引き起こされると考えられていますClin Nutr ESPEN. 2019 31221273

1 消化酵素α-アミラーゼの働きを抑える作用
2 筋肉のブドウ糖取り込みを促進する作用

2つの働きで糖尿病患者を助ける

1.消化酵素α-アミラーゼの働きを抑えて糖の吸収を遅らせる作用

酢はデンプンをブドウ糖に分解する消化酵素であるα-アミラーゼの働きを抑制する作用があります。ヒトでは唾液中のα-アミラーゼが胃内でもしばらくデンプンを分解し続け、食後最初の30分でデンプンの約80%が加水分解されると報告されています。酢の強い酸性(pHは約2~3)により、この唾液由来α-アミラーゼは胃内ですぐに失活しますDig Dis Sci. 1987 3652896。その結果、胃内での分解が抑えられて小腸でゆっくり分解されることになるので、ブドウ糖がゆっくりとしか生成・吸収されないため、食後血糖の急上昇を防ぎます。

2.骨格筋など末梢組織でのブドウ糖取り込みを促進する作用

酸は筋肉など末梢組織でのブドウ糖取り込みを促進し、血中からの消失を高める作用がありますJ Diabetes Res. 2015 26064976。前腕の静脈にカテーテルを挿入して酢を服用することで血糖値が変わるかどうかを観察した研究があります。酢の服用で前腕筋のブドウ糖取り込みが大きく増大し、同時に血中グルコース濃度とインスリン濃度の低下が観察されました。この結果は酢の摂取によって、筋肉のインスリン感受性が向上し、ブドウ糖が筋細胞内に取り込まれたことを示唆します。