中絶はあったのか

では中絶についてはどうでしょうか。非科学的な迷信や社会的に自己成就した予言を理由に、この年の中絶、堕胎、死産の数が増えるようなことは、あってほしくはありません。

悲しむ女性のシルエット
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このことを考えるにあたり、まず当時の人工妊娠中絶の数を確認しておきます。人工妊娠中絶数は、ひのえうまの1966(昭和41)年は約80万8千件であったと報告されています。これは中絶率(年単位の出生数と中絶数の合計に占める中絶数の割合)にすると37.3%にもなります。

じつは迷信とは全く関係なく、この時代には、驚くべき数の人工妊娠中絶がなされていたのです。結婚している夫婦が望まぬ第二子以降を妊娠した場合には、22週目までの早い段階において、産婦人科で人工妊娠中絶をすることが一般的であり、それがこの中絶数の多さの内実です。