※本稿は、大宅邦子『新版 選んだ道が、一番いい道』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
毎年行われる事故発生時の訓練
どんな道でも、ベテランと呼ばれるようになっても練習や鍛錬、訓練は不可欠です。CAという仕事においては、安全を守ることは最優先の大切な仕事ですから、毎年行われる「エマージェンシー訓練」は身が引き締まるものでした。
これは2日間で行われ、最初のカリキュラムは15分間のペーパーテストです。問題は緊急時や急病人、機材不具合発生時の対応手順など、安全業務にかかわるもので、マニュアルを読んでいればまず落ちることはありません。
難しくて毎回、緊張するのは、実地訓練のカリキュラム。安全な離着陸にも、緊急事態が発生した際にも、CAの役割であるドア操作はとても重要です。
コックピットクルーと合同で、事故発生時のシミュレーションもします。
「鳥がエンジンに入り込んでトラブル発生、5分後に緊急着陸決定」
こんな想定のもとにみんなで時計を合わせ、「機内のお客様の安全を確保、着席して頭を抱えて体を伏せる、着陸!」となったあと、機長から合図が来ます。発生から着陸までの準備、ドア操作、脱出の誘導までを訓練するのです。
大事なのはとにかく確認、確認、確認
まずは外の安全確認。開けるドアの外に火災がないか、障害物がないかを声に出しながら、指差し確認します。
外の安全確認をしたら、ドアモードの確認。ごく単純ですが大切なのがこの順番です。ドアモードを確認してから外を見て「あっ、ダメだ、降りられない」となったらドアが開けられないのですから、ドアモードを確認した時間は無駄になってしまいます。1分1秒を争うとき、この単純ミスは致命的です。
ようやくドアを開けられるようになったら、脱出シューターの確認。機体にきちんとついている状態にしなければならず、さもなければ「緊急時にドアを開けても何もない!」となってしまいます。シューターが膨らんだ状態を確認したらお客様の脱出となり、滑って脱出した人数の確認も忘れてはなりません。
「5分しかなかったら」「10分以内では」と想定時間を変え、機内準備と脱出を完了させる訓練を、トータルで5回ほど行います。機種によってドアの開放手順も異なるので、それぞれについても確認する……。エマージェンシー訓練は、とにかく確認、確認、確認です。油断大敵で、私も毎回、緊張していました。