生産が追いつかなければ「犯罪」とみなされる

アルセニエフ氏の悲劇は、現在のロシア軍需産業が抱える構造的な危機を象徴している。

フォーリン・アフェアーズ誌によると、ドローン生産を除けば、ロシア軍需産業の生産能力は2024年までにほぼ頭打ちとなった。工員の人材はすでに枯渇しており、前線に送られる装備の大半は新品ではなく、NATO製に見劣りする改修品だという。

同誌はこうした構造を「使い捨て経済」と呼ぶ。工場はフル稼働し、労働者は喜んで賃金を受け取り、原材料への需要も急増する。しかし、戦車もドローンも砲弾も、戦場に出れば即座に破壊されてしまう。道路や発電所、学校といった長く残る資産は何も生まれない。戦争が続くほど経済が回る一方で、国は貧しくなっていく。