国民年金と国民健康保険の損得
国に代わって会社が税金と保険料の徴収を代行する源泉徴収と年末調整によって、国家から「惜しみなく奪われる」サラリーマンに比べて、自営業者の加入する国民年金や国民健康保険はまだマシだった。
国民年金の保険料は定額制で、2009年の月額1万4660円が2024年には月額1万6980円まで引き上げられたが、その引き上げ幅は月額2320円、年額では2万7840円に抑えられている。
それに対して厚生年金に加入している年収600万円のサラリーマンは、保険料率が15.704%から18.3%に引き上げられたため、自己負担分だけで年間7万7800円も余分に払うことになった。会社負担分を入れれば15万5760円の引き上げだ。
国民年金の場合、平均寿命まで生きれば払った分の2倍程度は戻ってくる。これは、国民年金が保険料と受給額(満額を納めると65歳以降月額6万8000円)が決まっている明朗会計で、大幅に保険料を引き上げたり、受給額を引き下げたりすると、(会社負担分を国がひそかに「没収」できる厚生年金とはちがって)損をすることがすぐにわかってしまい、誰も年金保険料を払わなくなってしまうからだ。
このように制度上、国民年金の「改悪」には限界がある。
厚生年金<国民年金+NISA
だとしたら、厚生年金の高い保険料を無駄に払うのではなく、保険料の安い国民年金に加入し、余裕資金をNISAで非課税で運用したほうがいいに決まっている(NISAについては拙著『新・臆病者のための株入門』〈文春新書〉を読んでほしい)。
一方、国民健康保険の保険料率は協会けんぽに合わせて引き上げられてきたが、サラリーマンが給与の額(標準報酬月額)で保険料を自動的に決められるのに対し、国民健康保険は所得が基準になるので、自助努力で保険料を減額できる(マイクロ法人から自分に対して支払う給料を安くすればいい)。
ただし、組合健保や協会けんぽは扶養家族に無料で健康保険証が発行されるので、家族構成によっては会社の健康保険のほうが有利になる。
制度上、もっとも不利なのは夫婦共稼ぎで子どものいないサラリーマン家庭と、扶養家族の多い自営業者だ。
