生前葬のすすめ
その16年後の2009年11月、水の江さんは老衰のため亡くなった。94歳だった。
新聞記事によると、近親者の一人は「静かに亡くなりました。生前葬も済ませてますので身内だけで静かに送りました」と語ったそうだ。
水の江さんのように、生前葬を通して、お世話になった人にお礼を述べるとともに、自分の人生に一旦区切りをつけて、新たなステップに進むという手もあるだろう。
大々的に催すのではなく、父方と母方の親族を集めて生前葬を行うことも考えられるだろう。家族や親族の絆を深める場にもなる。
死に向き合わないと、本当の意味での老いや死に至る準備はできないのかもしれない。
人生の仮決算
もちろん誰もが生前葬を行えるわけではないし、しなくてもよいだろう。ただ、漫然と年齢を重ねていると大切なものを失うかもしれない、という感覚は必要ではないかと思っている。
80代や90代になったら、自分で何かしようと思ってもできないことも増えるだろう。体調が優れないこともあるだろうし、周囲に動いてくれる人がいない可能性もある。
それならば、どこかの時点で「人生の仮決算」をしてみたらどうか。
仮決算の内容は大きく分けて2つある。
ひとつは、今までお世話になった人にお礼をきちんと述べることだ。もうひとつは、今までの自分の人生はこういうものだったという整理をしたうえで次のステップに進むことだ。

