「人はやっぱり朽ちていく」
母親が90歳を過ぎて亡くなった後に彼に訊いたところ、「人はやっぱり朽ちていく。私が小さい時には万能だった母も無力になっていく」と言う。
自分の老いの過ごし方についてどう感じたかを尋ねると、「死ぬことやエンディングノートはまだまだ先にすべきだ。残された元気な時間をきちんと過ごすことが大事だということを思い知った」と語っていた。
70代半ばの彼に実際に何をするのか重ねて訊くと、彼は音楽が好きなので、仲間と一緒に演奏の練習や発表会をするのが一番の楽しみだという。
また彼は、お互い気楽に情報交換や助け合いができる井戸端会議のような場が大切だと感じている、と話していた。
高齢者問題を経済・財政の課題や世代間の摩擦などの観点から大上段に語るのではなく、彼のように高齢者側に視点を移して、老人の目で自分の生きている姿や今後の老いの姿を見つめるというアプローチは素晴らしいと思ったのである。
合同墓の「墓友」の交流イベント
先祖が眠る墓地を閉じて合同墓の契約者同士が生前に親交を深める「墓友」という動きがあるという。日本経済新聞(2025年3月15日)が「墓友」の交流イベントの様子を紹介していた。
NPO法人の施設に67〜89歳の男女22人が集まった。彼らは皆、合同墓の契約者だという。
「たくさんの友人に出会えて本当に幸せ。どうか皆様、体を大事に」と、最近83歳で永眠した女性会員が生前に書き留めた墓友へのメッセージが代読されて、涙ぐむ参加者もいたそうだ。また、同じ高齢者向け住宅の入居者たちで共同墓地を建立した例も記事にあった。
「離婚や死別、独身など背景は様々だが、死後の不安や寂しさは共通していた」という入居者の言葉が紹介されていた。
