邦楽の家に生まれて

小松原さんは東京の下町、柳橋の一角で、1931(昭和6)年3月に生まれた。両親と5つ上の兄との4人家族で育つ。

「私は一般の、普通の家庭生活というものを知らないの」

父は三味線音楽「常磐津」の師匠であるという邦楽を生業とする家は、芸事に生きる人たちの三味線や歌など“音”に満ちた世界だった。