「男らしさ」の価値観が変わり始めた

男性が感じる生きづらさの背景には、「男らしさ」という価値観の変化があります。長く社会の中で息づいてきた“伝統的な男らしさ”は、仕事優先・競争・責任・強さといった価値観に基づいていました。そうした姿勢こそが“男らしい”とされてきたのです。

一方で、現代では“ケアする男性像”が求められるようになりました。家族に寄り添い、感情を素直に表現し、周囲の人の気持ちや状況に目を向けながら関係を築く。そんな温かさや思いやりを持つ男性像です。欧米では「ケアリング・マスキュリニティ(共感やつながりを重視する男性像)」とも呼ばれ、新しい「男らしさ」として再定義されています。

しかし、理想として掲げられるこの“新しい男らしさ”が、すぐにすべての男性の中に根づくわけではありません。社会が変わりつつある一方で、個人の意識の変化には時間がかかります。近年、男性育休の取得率も上昇し、行動の面では“新しい男性像”が広がっています。しかし、内面では「家族を支えねば」「弱さを見せてはいけない」といった意識を手放せない人が多いのも現実です。