新たなステージというべき「定年後、その後」に入った世代は、実際にどのように過ごしているのか。どういう困ったことがあるのか。逆にこの年代で、元気に過ごしている人、自分の個性を発揮している人はどのような人物なのだろうか――。

メディアや書籍の情報などに加えて、先輩方への取材内容や、私自身の体験なども絡からめて考えてみたいと今回まとめたのが『定年後、その後』である。

「いい顔」の人の話には気づきがある

この20年あまり、多くの人の話を聴きながら執筆を続けてきた。取材する側の立場から見て大切だと思うのは“顔つき”だ。もちろん美男美女という意味ではなくて、声や態度、雰囲気も含めた顔の表情のことである。

現役時代が終了すると、周囲の人が見るのは過去に勤めていた会社でもなく、肩書でもない。私には顔つきがその人のプラカードのように思えて、かつての名刺の役割を果たしていると感じている。

会社員からほかの仕事に転身した人たちを取材していた時に気がついたことがある。それは、私が「いい顔をしている」と感じた人に話を聴くと、不思議とヒントを得られることが多い。また彼らから取材にふさわしい人を紹介されることも少なくない。

談笑するシニアの人々
写真=iStock.com/FG Trade
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人が「魅力的な笑顔」になる理由

人には好みがあるから、「いい顔」と感じるかどうかは人それぞれだろう。そういう意味では、主観的なものだ。

メディアの連載に実名で登場していただくためには、相手に対する短時間の取材だけでは足らない。どんなエピソードを持っているのか、どれだけ魅力的な体験の持ち主であるのかは、事前調べが必要になる。

そこでアポを取る前にできるだけ本人の顔つきを確認するようにした。たとえば、蕎麦屋を開業している人だったら店でお客さんとして食べてみる、コンサルタントの場合は事前にセミナーに参加するなどだ。この活動が、取材をするかどうかを判断する際に大いに役立った。

その人の顔つきが人とのつながりや、チャンスを呼び込むのではないかと感じたのである。個々人の最大公約数の「いい顔」は笑顔ではなかろうか。