「定年後」は60代後半まで
私の感覚では、「定年後」というのは60代後半までのことを指すような気がしてならない。
60歳で会社を去った人、あるいは定年後に雇用延長して65歳で退いた人たちのその後の状況を、何歳になっても「定年後」という広いくくりに収めるのは少々無理がある。
70代以降の人の取材を進めていくと、50歳からの15年間と、65歳からの15年間とでは、それぞれの変化の度合いはまったく異なる。70代にもなれば、もう別の次元に入っていて、徐々にではあるが、目に見えて老いの影響を感じるのだ。
言い換えれば、70代になれば現役時代は遠い過去になり、役職や肩書を持たない一個人として生きていくことになる。「定年後=老後」ではなく、本来の意味の老後は70代から始まる。
60代の時には想像もできなかった世界
私自身も、現役時代から関心があった経営学や人事関係の仕事より、趣味や福祉関係に興味が移りつつある。
30年以上愛読してきた日本経済新聞よりも、最近は地元の神戸新聞のほうが読める記事が多くなってきた。70歳の運転免許の更新時に高齢者講習も受けた。
孫も大きくなったので、周囲から「おじいちゃん扱い」を受けることが増えたような気がしている。
また本業のことでいうと、50代から60代前半までは、仕事をしながら年に1〜2冊の本を執筆してきた。しかし今となっては神業のように感じる。
「定年後」の先の新たなステージ
このような段差があるとは、62歳の時には想像もしなかった。自分自身が70歳を過ぎて初めて知ったことだ。
そういう意味では、「定年後」と「定年後、その後」というように分けて考えるほうが自然ではないだろうか。
