中学生時代に起きた「水道事件」

中学生のとき、髪に対するコンプレックスが原因で、忘れられないトラブルになったこともあります。

ある日、私は髪が飛びはねないように、ハードスプレーでガチガチに固めて登校しました。

すると、ある先生が「なんだその髪は! 今すぐ、水道で流してこい!」と怒鳴りつけてくるのです。抵抗むなしく、私は半べそをかきながら、クラスメイトの前で蛇口の水を頭からかぶることになりました。

校則を破るつもりなどまったくありません。ただ、「人並みの髪」になりたかっただけなのです。今思い出しても、あのときの胸の痛みがよみがえります。

「くせ毛」に悩める人たちに共通する心の痛み

今の時代ならSNSで映像が拡散されて大問題になったかもしれません。しかし当時は、「心配かけるかも」「怒られるかも」という不安から、親にも言うことができず、自分の中に抱え込むしかありませんでした。

おそらく、くせ毛の人はみんな、こうした悲しい思い出のひとつやふたつ、持っていると思います。

現在、私が所属するサロンに来てくれたくせ毛のお客さんたちからも、こうした悲しい体験談をたくさん聞いてきました。すべてが私自身の記憶と重なります。

いつしかコンプレックスの塊に

多感な思春期にそんな経験をしたら、自分の髪がコンプレックスになってしまうのも無理ありませんよね。

まさに、そうしてコンプレックスのかたまりになった私は、18歳から35歳までの17年間、ずっと縮毛矯正をかけ続け、自分のくせ毛を隠し続けていました。

その間、2人の子どもを育てながら働いていたので、4〜5時間はかかる縮毛矯正のために美容院へ行かなければなりません。その時間を定期的に確保することは、なかなか大変なことでした。