何度も開いたり、閉じたりすると、壊れるんじゃないかという心配が産業界から寄せられますが、そんなことはありません。実際、実験したところ、出し入れを64万回やっても、ほとんど吸着と放出の性能は落ちませんでした。64万回といえば、従来の分離装置で7年間の稼働に相当します。しかも、分離のエネルギーもコストも従来より大きく下げられる。私がいちばん気に入っている仕事です」
日本が資源大国に
特定の気体を狙い通りに分離する技術を発展させれば、空中から資源を取り出すことも可能になるという。北川の描く未来像は壮大だ。
「植物は35億年前から太陽光を使って空気中の元素を化合物に自在に変え、生命活動を続けてきました。我々の身の回りには窒素、酸素、水素といった資源が無尽蔵にあり、空気と水がこれらの供給源ですから、いくらでも取ってこれるのです。人間も空気中から資源を取り出せるはず。
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(緑 慎也/文藝春秋 2013年9月号)

