キーエンスが圧倒的な結果を出せる理由

このように、課題発見力が企業活動の中核となる時代において、付加価値提供と競争優位性の境界は急速に曖昧あいまいになっています。かつては製品やサービスそのものの善し悪しが付加価値を決め、コストや規模が競争力を規定していました。しかし今では、「顧客の潜在課題を発見し、それに応える力」こそが、付加価値と競争優位の両方を生み出す根源となっています。この変化は、極めて自然な帰結です。

たとえば日本企業であるキーエンスは、まさにこの「課題発見型企業」の代表例でしょう。同社は製造現場の潜在的な問題点を先回りして捉え、顧客が自覚する前にソリューションを提供することで、極めて高い利益率と持続的な成長を実現してきました。顧客の声を待つのではなく、課題を発見し、提案型営業で解決策を差し出すこの姿勢こそが、キーエンスの圧倒的な競争優位性の源泉なのです。

作業服姿の男性と握手するスーツ姿の女性の手元
写真=iStock.com/west
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構造的に強靭な企業に共通することは、まさにこの「課題発見→価値創造→競争優位」というサイクルを自らの成長エンジンにしている点です。だからこそ、「付加価値のありか」と「競争優位性」を包括的に把握する能力が長期投資家には求められるのです。