9月15日、実に6年半ぶりに行われた政府・日銀によるドル買い介入は、一時、1ドル=82円88銭まで進んだ円高を、一気に85円台まで押し戻した。ドル買い介入で為替相場が大きく動けば、個人のFX取引が盛り上がるはずではないかと、多くのFX会社は期待していたようだ。

しかし、介入によって為替レートが動いたのは一瞬で、9月16日以降の為替レートは、再び膠着状態になってしまった。

為替介入には2つの方法がある。一国の政府・中央銀行によって行われる単独介入と、複数国の政府・中央銀行によって行われる協調介入だ。協調介入が効果を挙げた事例としては、1985年のプラザ合意による急激なドル売りがある。当時、1ドル=235円台だったが、協調介入により、翌日には1ドル=215円台に、1年後には1ドル=150円台まで円高が進んだ。

しかし、今回は日本政府・日銀のみがドル買いを行う単独介入。これでは効果も限定的だ。前回、政府・日銀がドル買い介入を行ったのは2004年3月。1ドル=103円台まで進んだ円高を114円台まで押し戻したが、やはり効果は薄く、再び円高基調が強まり05年1月には、101円台に。それでも介入直後から11円も円安が進んだわけだが、今回はわずか3円幅でしかない。政府・日銀のスタンスを見る限り、米ドルを積極的に買い上げていくような介入は行われていない(9月24日現在)。

なぜ、ドル買い介入が行われないのか。アメリカやユーロ圏が今の不況から脱出するために、自国通貨安による輸出促進を狙い、通貨当局が円安に反対のスタンスを取っているからだ。

空前の円高にもかかわらず、8月から個人のFX取引は大幅に落ち込んでいた。FXの市場取引である「くりっく365」の取引数量を見ると、8月は7月に比べて12%のマイナス。過去最高の取引数量となった5月と比べて、ほぼ半減。規制により最大50倍までしかレバレッジがかけられなくなったため、少額の証拠金でハイレバレッジトレードを繰り返していた投資家にとって、証拠金負担が重くなったためだ。さらに相場が動かなければプロのディーラーでもお手上げである。