瞑想がもたらす脳の変化

先日テレビに、体に手術用の針のような串を指しても、痛みも感じず、出血もしないという男性が登場した。同時に、「私もできます」という手品師が出てきて同様のトリックを披露してみせる。「なんだ、その類か」と思っていた。ところが医師たちも近くに並び、最後はCTスキャンまで登場。その結果、トリックではなく本当に痛みも感じず出血もしないという結果にいたった。

特殊な体をしているわけでもなく、検査をすると痛点は正常。ところがこの男性は、脳の一部で痛みと共に感じる恐怖や不安などの感情をコントロールして、脳内に大量のα波を放出できるという。つまり、「痛みスイッチをオフ」にすることで、脳内をリラックスした状態にして、痛みを感じないのだそうだ。なんとも不思議な話ながら、確かに脳内の反応の映像で痛みを感じていた部分が、スイッチをオフにしたことで痛みを受けても反応しなくなっていた。

これは、科学的には解明されなかったが、感情や感覚をコントロールするという意味では、瞑想に似た作業のようだ。実際「定期的な瞑想の実践は、共感や記憶、および自意識にかかわる脳の領域に明らかな変化をもたらす」というハーバード大学の研究結果も見られる。つまり“脳”の働きは、瞑想などにより自分でコントロールできるというわけだ。

ハーバード大学メディカルスクールのサラ・ラザール博士はこう説明している。

「瞑想は、安らぎやリラクゼーションに影響すると考えられます。けれども、それ以上の良い影響が認知面や心理的な面にもみられ、その効果は一日中続きます。実験ではこれを裏付けるような脳構造の変化が確認されました。瞑想によって気分が良くなるのは、ただリラックスした時間を過ごしたことが理由ではありません」

博士の見解のもととなった実験とは、こんなものだ。