チャン・イーモウ監督のふたつの映画

高倉健が好きな映画を考えてみると、いくつかの特徴がある。

A 好きな俳優が出ていて、自分の演技の参考になる。『地下室のメロディー』などジャン・ギャバンの映画。『ゴッドファーザー』『ディア・ハンター』などロバート・デニーロの映画
B 愛する人のために立ち上がるシーンがある映画。『運動靴と赤い金魚』
C 新しい方向性を感じさせる映画。『ディープ・インパクト』

そして、この3つを兼ね備えた映画であればなおいい。

チャン・イーモウ監督のふたつの映画、『あの子を探して』と『初恋の来た道』はいずれも上記の3つを満たしている映画だ。この2作はいずれも2000年の公開。後者はチャン・ツィイーが初主演した映画として知られている。

高倉健はチャン・イーモウ監督の作品は『紅いコーリャン』(1987年)からすべて見ていると言っていた。
そして、彼は『あの子を探して』をこう評価している。

「中国の山のなかの『はたしてこれが学校か』というくらい貧しい学校の話。

13歳の女の子が代用教員になって、一生懸命に授業をやる。貧しくて学校をやめちゃう子が多いから、とにかくひとりも生徒を減らすな、と。でも、ひとりの子どもが町へ出かけていなくなってしまう。それを探すストーリーなんだけれど、詳しくは映画を見てください。ここに出てくる学校の先生、生徒、町の人々もプロの俳優じゃありません」

チャン・イーモウ監督は素人を使って映画を作る、上質の映画を作るノーハウを持っていた。それで、高倉健は彼の映画に出ることにしたのだろう。