東日本大震災以降、自然災害のリスクを考慮した資産管理を意識するようになった人も多いのではないだろうか。非常用袋の中身から被災後の各種手続きのコツまで「有事のお金の守り方」を伝授する。

災害が起こる可能性を考慮した場合、どんな資産ならリスクを低くできるのだろうか。

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震災リスクの高い資産、低い資産

将来、首都圏を大災害が襲うようなことがあれば、日本経済は一段と後退する。災害復興需要のある建設、土木など一部のセクターを除き、その他の銘柄はおしなべて株価が下落する。

不動産も、津波や液状化などで土地そのものがダメージを受けたり、建物が倒壊したりすれば資産価値は大きく棄損する。美術品、ワインなどの実物資産も、傷ついたり割れたりすればほぼ価値がなくなってしまう。

逆に、災害リスクに強いのが海外資産だ。災害の影響で日本経済が停滞したら、中長期的に円は売られ、円安が進むことになる。円安局面で円建ての資産ばかりを保有していると資産価値が目減りしてしまう。しかし外貨建て資産を保有していれば、円安によって為替差益が得られるため、資産価値が目減りするのを軽減できる。

さらに万全の備えをするならば、海外に銀行口座を開設し、そこに資産の一部を避難させておくのも手だ。HSBC香港などは、日本人でも口座を開設できる海外銀行だ。キャッシュカード1枚で、世界中のATMから現地通貨を引き出すことができるので、もし、日本を脱出するような究極の事態が生じたとしても、当面、海外で生活するのに困らない。

また「有事に強い」と言われる金だが、これも自宅に保管していたのでは、津波や建物倒壊で紛失するリスクがある。金を保有するならば、きちっと貸金庫などに預けておくか、もしくは金ETFのような証券化商品での投資が望ましい。

換金率が高いのはロレックス

選択した2カ所の時刻を同時に表示できる機能性の高さも人気のロレックスGMTマスターII。

震災後は質屋に高級腕時計などを持ち込む人が増えたという。いざというとき高く売れるのは何だろうか。

「大黒屋 質 東京駅前店」の店長、松岡貴之氏は「腕時計ならロレックス。特にスポーツタイプは買い取り条件がいい」と言う。人気のエクスプローラーIIやGMTマスターIIは「新品なら定価の約70%で買い取れます」とのこと。逆にプラチナやダイヤ入りは需要が低い割に定価が高いため買い取り条件は悪くなる。

宝飾品では、ダイヤモンドの買い取り条件が悪化しており、金は安定しているという。「昔流行った喜平のネックレスなどは買い取り条件がいいですね」。

宝飾品やブランド品を買う場合は、このように換金率を調べてから購入するのも手だ。