「LA・LA・LA LOVE SONG」→「スマスマ」
実はSMAPにとって、この1996年4月15日は別の意味でも記念すべき日だった。
「スマスマ」のひとつ前の月曜夜9時台、いわゆる「月9」の枠でこの日始まったのが、あの『ロングバケーション』である。
山口智子と木村拓哉のダブル主演。売れないモデルの葉山南(山口)とピアニストを目指すものの思い通りにいかない瀬名秀俊(木村)がふとしたきっかけから同居生活をするところから始まる恋愛ストーリー。脚本は北川悦吏子。初回は30分拡大版ということで、「スマスマ」は10時30分スタートになっていたのだ。
ご存じの通り、『ロングバケーション』は、ロケ地にファンが集まるほどの社会現象となる大ヒット。すでに『あすなろ白書』(フジテレビ系、1993年放送)以来人気に火がついていた木村拓哉も、この連ドラ初主演作の成功によって、スター俳優としての地位を確固たるものにしていく。
そして「ロンバケ」と「スマスマ」の同日スタートは、SMAPというグループそのものを象徴している面もあった。
普通、アイドルグループにおいて、誰かひとりがエースと呼ばれ顕著な活躍をすると、グループとしてのバランスが崩れやすくなる。それだけ、ソロとしての活動とグループとしての活動を両立させることには一般に大きな困難が伴う。
それまでのアイドルとSMAPの決定的違い
だがSMAPにおいては、個々の活動とグループの活動とがきわめて高いレベルで両立していた。それは、アイドル史上かつてなかったことと言っていいだろう。そこには、個とグループがお互いを刺激し合い、さらに好結果をもたらすという相乗効果が生まれた。
もちろん木村拓哉だけではない。そのころすでに、森且行や稲垣吾郎は俳優、香取慎吾はバラエティ出演や俳優、中居正広はバラエティ出演やMC、俳優として個人でも存在感を発揮していた。
だがこの時点では、草彅剛にだけは他のメンバーに比べるとまだ大きな波が来ていなかった。この頃の中居正広は、SMAPというグループのためにも草彅のブレークが必要だという趣旨のことをよく口にしていたと記憶する。
冒頭のバンジージャンプをする役が草彅なのは、その意味ではひとつのアピールにもなっていた。そして実際、草彅は「スマスマ」開始後の1997年、ドラマ『いいひと。』(フジテレビ系)主演をきっかけに俳優としての才を認められるようになる。