――味覚障害は、コロナでも話題になりましたよね。

見栄晴 うん。僕は今回が初めてだったけど、コロナでなった人も本当に大変だったんだろうなって。ひとつ救いだったのは、 この時点で甘味がまだ感じられたこと。先生に味覚障害のことを話したら、「甘くてハイカロリーなものでもいいから食べて、とにかく体重だけは落とさないで」って言われました。味覚障害も、みんなが体重減っちゃう原因のひとつらしいから。

――インスタグラムでは、「五目あんかけそばは味を少し感じた」など、味覚障害時の食べ物事情も発信されていました。

見栄晴  味もだけど、食感が違うものとか、食べやすいものとか、とにかくいろいろ試しました。梅干しと「ごはんですよ」はなんとなくでも味がしたから助かったな。競馬番組のプロデューサーが喉にいいからって送ってくれた「マヌカハニー」とか、先生に栄養が取れるってオススメされたのは「アバンド」っていう水で割って飲む粉末とかも。先生のことは全信頼してたから、言われたものは全部試すようにしてたんだよね。

「一番怖さを感じたのは5月2日に治療の結果を聞きに行ったときかもしれない」

――その後も2回の入退院を経て、3月28日の退院で初期治療が終了。その後も病院へは通っているんですか?

見栄晴 検査などで行ってましたけど、一番怖さを感じたのは5月2日に治療の結果を聞きに行ったときかもしれない。今後同じ場所が再発したら、もう放射線治療はできないから手術で声帯を取るしかないと言われて、これは余計なこと聞いちゃったなって。でも、最後の放射線治療をした3月28日時点でそれを知らなくて良かったかもしれない。消えてるかどうかわからないまま治療を終えるのは、もっと怖かっただろうから。

――そうですよね。でも、初期治療が無事に終わって良かったです。

見栄晴 癌は治療から5年経過して再発しなければ治癒したことになるようで、現時点で「治った」とは言えないんだけど、とりあえず5月2日のCT検査の結果では、最初にできた癌は消えてて、他に転移もしてなかった。

 普段は無口な耳鼻科の先生が、CTの結果を伝えるとき微笑んでたんですよ。しょっちゅう会ってたから、言葉で聞くよりも表情でわかるんですよね。それに、先生が何を本気で言ってくれてるかっていうのもなんとなくわかる。でも、次回の検診が1ヶ月後って言われたときは、不安で「1ヶ月経たないと来ちゃダメですか?」って聞いちゃった。

――確かにいきなり1ヶ月も空くのは不安ですよね。

見栄晴 そうなんですよ、急に空くのが不安で。1ヶ月後の次はもっと間隔を空けていいって言われたんだけど、「そこも空けなくていいですか? 月に1回来ていいですか」聞いたら、いいですよって笑ってくれました(笑)。

放射線科では、頻尿のこととか、CTで出た他の数値のこととか、癌以外の悩みも相談に乗ってもらって。最後に「次は3ヶ月後で」って言われて嫌がったら「来たがる患者さん珍しいですよ」って言われました。でもね、先生に会いたいの。