“悪玉”という言葉に騙されてはいけない
間違い2 コレステロール値は下げるべき
死者まで出したサプリメント「紅麹コレステヘルプ」がヒットしていたのは、そもそも「LDLコレステロールは悪い物質であり、体内から減らすべき」という、間違った「健康常識」が定着していたからでしょう。
小林製薬は、被害状況の情報開示に消極的であるため現在、詳細は不明なのですが、まだ調査中にもかかわらず、青カビ由来の「プベルル酸」という有害物質の混入が「原因である可能性が大きい」と、厚生労働省は早々と発表しました。どう見ても、“不審”です。
というのも、実は、紅麹に含まれる「スタチン類」という成分そのものに、有害な作用があるかもしれないからです。スタチン類は、脂質異常症の治療薬にも用いられ、腎機能障害などの副作用があることがわかっています。つまり、「コレステロールを減らす成分」が、被害をもたらした事実を隠蔽しようとしている疑いがあるわけです。
では、命を削ってでも、減らさなければならないコレステロールとは、どんな物質なのでしょうか。実はコレステロールは、がんや病原性ウイルスを退治してくれる「免疫細胞」の重要な原料です。つまり、コレステロール値が下がると、がんや感染症を発症しやすくなります。性ホルモンの原料でもあるので、コレステロールが少ないと、男性はEDになったり、女性は骨粗鬆症になったりします。
コレステロール値は高いほうがいい理由
たしかに、「LDL」というコレステロールには、動脈硬化を促進するマイナス作用もありますが、一方で、傷ついた血管を修復して、頑丈にする働きもあります。LDLコレステロールを豊富に摂れば、血圧が高くても、血管が破れにくくなるのです。循環器系の医師がLDLの一側面だけをとらえ、“悪玉”呼ばわりするのは、不勉強な偏った見方です。総合的に見れば、LDLコレステロールは医学上、とても有効な物質なのです。
1993年に発表された、世界的にも有名な米国の「フラミンガム研究」の追跡調査によって、コレステロールの効果は、すでに明らかでした。血清総コレステロールが1mg/dl上がるごとに、がんの死亡率は40歳以上ですべて減り、総死亡率も60歳以上の全年代で低下しました。日本の研究でも栄養状態が良くなり、コレステロール値が高くなるほど脳出血、脳梗塞の発生率が減少傾向になることがわかっています。コレステロールには、血管を強くするだけでなく、血管のつまりを防ぐ作用もあると推察されます。
国民のコレステロール値を「上げたほうがいい」というのは、もはや世界のコンセンサスです。にもかかわらず、日本では、厚労省が音頭を取って、必死に「下げよう」としています。がん死亡率の高い日本では、「愚の骨頂」としか言いようがありません。
コレステロール悪玉論というフェイク情報をまき散らし、製薬業界とともに利権をむさぼる、循環器系の医師たちの責任も重いと言えます。残念ながら、利権まみれの医者が30年は医学部に居座るので、現状は改善しないでしょう。