煎茶や玉露は、蒸した後、揉む作業が入りますがお抹茶の場合は揉みません。

こうしてできあがったものをお抹茶の原料、荒茶といいます。

荒茶の葉を小さく砕き、葉脈を取り除いた後、葉を乾燥させ選別します。これが碾茶てんちゃとなります。

碾茶を石臼で挽いて、お抹茶ができあがります。

できあがったお抹茶は、約4ミクロンという非常に細かい微粒子です。

石臼で挽いたものは、口当たりや味・香りが最も優れているといわれています。

通常の緑茶より、手間暇かけてできあがったお抹茶を是非、じっくりと味わっていただければと思います。

千利休が広めた茶道は男性必須のビジネスツール

茶道体験にいらした外国人のお客様から、「日本人は皆、茶道をするのですか」という質問をよく受けます。

残念ながら、茶道の体験をしたことがある日本人はとても少ないのです。

「最近の若い世代は、西洋のスタイルを好み、住んでいる家には畳の部屋もなく、飲みものもペットボトルのお茶ですよ」とお答えすると、「こんなに素晴らしい日本の伝統文化を継承しないのは残念だし、とても悲しいですね」といわれます。

海外の人からは素晴らしくみえる日本の文化も、日本人にとっては古く思えたり、敷居も高く感じられたり、面倒なものにみえるのかもしれません。

「それでは、どんな人が茶道をしているのですか」

戦国時代に千利休が広めた茶道は、武将が心を整えるだけではなく、武道同様の“たしなみ”で、お茶室は密談をする格好の場となり、男性の必須ビジネスツールでした。しかし現在茶道をしている人の多くは、教養や作法を身につけたいと考える女性です。

「それは勿体ないですね。元々は昔の男性が仕事にも活かしていたのですね。それなら何かよい効果があったのだと思います。現代の男性も、ビジネスや教養のため、茶道を取り入れるとよいのではないでしょうか」

外国人にはみえているものが、残念ながら日本人にはみえないのかもしれません。

茶道でグローバルな視点が得られる理由

「茶道は小学校で習うのですか」

多くの小中学校では書道は習いますが、茶道の授業はありません。現代では、大人になり自ら興味を持たないと茶道に触れる機会はほとんどありません。

「欧州では、小学校や中学校で自国の文化の授業があり、そこで美術や音楽、歴史などの教養を学んでいます。そのため、しっかりと自国の文化を語ることができるし、語れないと“教養がない人だ”と思われてしまいます」

日本とはあまりに違うので、驚きました。欧州人は子どもの頃から学校で自国の文化を学んでいるから、教養としてしっかりと文化を語れるだけでなく、文化を継承できるのですね。