年収1200万円世帯が
陥りやすい家計の病気

多聖域病

症状:ムダだとわかっているのに、どうしても削れないお金がある人は罹患している可能性が高い。家計が苦しくなるまで自覚症状がないのも、この病気の特徴である。

原因:家計には聖域があると思い込んで疑わない。

治療法:自動車費用やタバコ代、飲み代、ゴルフなどの趣味にかかるお金は聖域化しやすい代表である。また、もっとも削りにくく、聖域化しやすいものに、子どもの教育費がある。聖域を守ろうとしすぎると、毎日の食費すら欠いてしまうことも。治療するには、思い切って聖域を突き崩すしかない。まずは苦しい家計の現実を直視する。そしてできれば一旦やめてしまうことが望ましい。やめても意外に何とかなるものだ。どうしても無理なら削る、という順番で考えるといいだろう。

マイホーム欲しい病

症状:男性よりも女性に多く発症する。発症すると無理をしてでも家を買いたくなってしまう。そのため「買えば資産になる」「家賃を払うのがもったいない」という言葉を発することが多くなる。

原因:不動産は安全資産という旧来の思い込みが抜けない。

治療法:人口が減少傾向にある日本では、不動産価格は長期的に下落傾向と予想される。値下がりする資産をローンで購入するリスクを直視しておくべきだ。最近は会社の業績悪化で給料が減り、ローン返済に支障をきたすケースも多い。やむなく売却する場合も、資産価値が下がっていれば借金だけが残ることもある。購入する場合も値引き交渉をするなど、少しでも割安に入手する努力をしたい。かつて、マイホームは安定と幸せの象徴だったが、現在は住宅ローン負担が幸せを壊す原因になりうることも頭に入れておこう。

※すべて雑誌掲載当時

(山本信幸=構成 坂本道浩=撮影)