ほうきには、柄の長いものと短いものがある。よく見ると、長い柄のほうきの先は水平に仕上げられている。

短い柄のものは、斜めに仕上げられていた。手前のほうが、少し短くなるように切り揃えられているのだ。そうすると、腰をかがめて掃くときに、ほうきの先全体が床にピッタリとくっつくようになる。

こうしてほうきの先が変形しないように気をつけることが大事だ。だから、ほうきをしまっておくときにも、つり下げて、ほうきの先に余分な力がかからないようにしておく。壁に立てかけておくのは、やめたほうがいい。

白木屋傳兵衛の店には、柄の先が傘の持ち手のように曲がっているほうきがあった。「これだと、どこにでも気軽につり下げられるでしょ」と、高野さんは説明してくれた。

それでも、ほうきは使っていくうちに、どうしても「掃きぐせ」が付いてしまう。その場合は、草に水を含ませて、手で揃えてやるといい。髪の毛のくせを直すのと同じだ。

それでも片寄りが直らない場合は、ほうきの先をハサミで切ってやる。2、3センチ切って、形を元のように整えてやるのだ。

切って草の部分が短くなると、次第にコシが強くなってくる。最初は畳に使っていたものが、3センチくらい切るとじゅうたんやカーペットに適したものになり、半分くらいの短さになれば玄関などの外掃きにおろす。

こうして先を少しずつ切って使っていくと、5年や10年は簡単にもつそうだ。「昔だと、短くなって使えなくなったほうきは、最後は火種にしました。柄の竹は、火がつきやすいんです。昔の人は、最後の最後まで道具を使い切っていましたね」

以上が、一般的にイメージされるホウキグサを用いている「座敷ぼうき」の使い方だ。

このホウキグサのほうき以外にも、よく使われているものに「シュロぼうき」がある。これは、シュロの樹皮をシート状に加工し、それを丸めて作った、いわばモップのようなほうきである。

柔らかいのが特徴で、床にストンと落として、そのままなぜるように使う。掃くというよりも、ゴミを集めるといったほうが合っている。