結婚相手探しの経済理論=メイトサーチ・モデル

「幸せ太り」のメカニズムを説明するために、ここではメイトサーチ・モデルという理論を使っていきたいと思います。

メイトサーチ・モデルは、結婚相手探しの経済理論です。もともと「労働者の職探し」の行動を説明するための理論としてジョブサーチ理論があり、それを「結婚相手探し」へと応用したものです(*3)

モデルの概要はこうです。

まず、職探しのための求職市場ならぬ、結婚相手を探すための「結婚市場」が存在すると想定します。ここで結婚相手を探すわけですが、結婚は重要な決断ですので、誰でもいいというわけにはいきません。

通常、「最低でもこれはゆずれない」という条件があると考えられます。

例えば、女性が男性に求める条件として、年収は450万円以上、学歴は大卒か、もしくはそれ以上、勤務先は大企業か国家公務員といった例があげられます。

相手に求める条件の中にはこういったお金や仕事の面だけでなく、人柄や健康、身体的魅力も含まれます。

このような「求める最低条件」以上の相手の中から、結婚相手を選んでいくわけです。

(*3)メイトサーチ・モデルの詳細については、橘木俊詔・木村匡子(2008)『家族の経済学 お金と絆のせめぎあい』(NTT出版)をご参照ください。

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「結婚相手に求める最低条件」が高いほど、婚期が遅れる

「相手に求める最低条件」は、このメイトサーチ・モデルで重要な役割を果たします。

「相手に求める最低条件」を高く設定すればするほど、結婚相手の候補者の数は少なくなります。

近年、よくニュースになる「結婚相手に求める年収」は、「相手に求める最低条件」の一例であり、その水準を高く設定すると候補者の数が絞られ、結婚時期が遅れるようになると予想されます。