ODA打ち切りのインパクトは大きいが
巨額のODA案件の全てを打ち切る措置は、非常に大きなインパクトを、日本の企業などに与える。政府の役人のキャリアにも響くだろう。どうしても続けたい、と思う気持ちはわからないではない。だがただ祈り続けているだけでは、袋小路に陥っていくだけだ。
本稿では、あらためて日本のミャンマー向けODAの状況を概観するとともに、何を検討していくべきなのかについて、考察を加えることを試みてみたい。
日本のミャンマー向けODAの概観
日本は、毎年1000億円以上のODAをミャンマーに提供し続けている。2019年の経済協力開発機構(OECD)のデータでいうと、日本の拠出金額は6億4690万ドルで、2位の世界銀行2億2080万ドル、3位のアメリカ1億4640万ドルに大きく差をつけて首位である(図表1。ただし統計データを提供していない中国が、実際には日本を大きく上回っていると見られている)。
これだけを見ると、日本の外務省が国内メディアに説明していたように、日本のODA額は圧倒的であり、ミャンマー政府関係者に対する日本の影響力は他のドナーよりも大きいように見える(もっともODA額が大きくて影響力もあるため、日本は他のドナーよりもいっそう慎重に国軍に配慮をしなければならないという説明には説得力がないのだが)。
そこでもう少し日本のODAの内訳を見てみることにしよう。まず気づくのは、圧倒的な円借款の比率の高さである。2019年度を例にとれば、ODA総額の9割以上が円借款である(図表2、3)。