弾薬を上手に節約できるかが重視される

第二次世界大戦において、物資を運ぶ日本軍の後方連絡線(補給線)が米軍によって次第に遮断されるようになりました。後方連絡線の安全確保ができない状態になると、戦闘に最も重要な弾薬補給も十分行うことができなくなります。そこですぐに影響が出るのは、砲身砲の弾薬です。

補給が乏しくなると射撃を行う機会と弾数も限定せざるを得なくなります。撃ち込むのを「ここぞ」という目標だけに限定したり、1回の砲撃で使用する弾数を少なくしたりしました。いかに無駄弾を撃たず、弾薬を上手に節約して使用するかが重要になっていったのです。

私は陸上自衛隊に在籍していた間、陣地攻撃の訓練を行うと、いつも違和感を覚えていました。自衛隊の教科書である「教範」には、第二次世界大戦、朝鮮戦争当時の戦い方に近い陣地攻撃の要領と手順が書いてあり、訓練はその教範に記載されている通りの要領で行われていたからです。前回触れた「突撃訓練」もその一つです。

現在では情報収集機材や装備能力が大きく向上し、変化しています。にもかかわらず、人員にしても装備にしても、国家総動員の総力戦による「消耗戦」を行っていた時代と同じような戦闘要領を続けることが適切なのかどうか、私は疑問に思っていました。

実際の訓練は火力重視とは矛盾している

幹部初級課程(小隊長を養成する課程)にいた20代の頃、疑問に思って、そのことを教官に質問すると、こう答えが返ってきました。

「そのような轍を踏まない(人的損害を多数発生させない)ためにも、火力を重視した戦闘を行わなければならないのだよ」

なるほど、強力な火力によって敵に大打撃を与えることができれば、味方の人的損害を抑えられます。しかし、実際の訓練では、とても火力を重視しているようには思えなかったのです。教官の答えは明らかにやっている訓練と矛盾しています。

「なぜもっと火力を使用しないのか」と聞いてみても、教官はうるさそうに「攻撃準備の時間が少ないので、仕方ない」と言うだけです。

幹部初級過程が終わり、部隊に戻って陣地攻撃の訓練に参加してみると、やはり第二次世界大戦や朝鮮戦争と同じ戦い方を行っています。火力を運用する特科の幹部にも同じ質問をすると、彼はこう言いました。

「この程度の射撃で十分だ。これ以上撃っても、弾の無駄だよ。それに十分な弾薬があるわけではないからな」

「無駄弾を撃たない」はその通りなのだが……

この話は、その特科幹部だけが特にそう思っているわけではなく、全体的に「弾薬の節約に努めなければならない」という雰囲気があるように、私には感じられました。

幹部や教官は口々に「無駄弾を撃たないために、目標の位置を正確に捉えて、効果的な射撃を行わなければならない」と言います。「無駄弾を撃たない」ようにするべきというのは、その通りだと思います。しかし、陸上自衛隊は専守防衛をモットーとしていますから、基本的に実戦は国内に限定されるはずです。