わずか5年で市場の2割に達した「コンビニコーヒー」
国内の喫茶店(カフェも含む)店舗数は、平成時代に半減した。
・91(平成3)年=12万6260店
・16(平成28)年=6万7198店
(総務省調査を基にした全日本コーヒー協会の発表資料による)
前述したように、コーヒー豆の輸入量は拡大している。にもかかわらず喫茶店が半減したのは、「コーヒーを飲む場所が増えた」から。コンビニコーヒーが拡大し、業態・価格帯が多様化したレストランもコーヒーを置く。カラオケボックスや自動販売機でもコーヒーは必需品だ。
なかでも「1杯100円」が中心のコンビニコーヒーの伸びはめざましい。13年に「セブン‐イレブン」が仕掛けた「セブンカフェ」は18年度には年間11億杯に拡大。競合もコーヒーを強化した結果、コンビニコーヒーの市場規模は、17年には2000億円台に膨らんだ。喫茶店市場が全体で約1兆1000億円だから、わずか5年で市場の2割に達したのだ。
現代の消費行動の1つに「業態を気にしない」もある。若い世代ほどその傾向は強い。理屈でなく感性で考えるからだと思う。
例えば20代の女性に「最近どんな百貨店に行った?」と聞くと、「ルミネはときどき行きます。あとはパルコかな」という答えも返ってくる。ルミネもパルコも百貨店ではなくファッションビル(商業施設)だが、受け手の意識は同じなのだ。
この意識は、カフェ選びにも通じる。コンビニやファストフード、ファミレスに行き、「座ってドリンクを飲めばカフェ」になるのだ。実際、ブログに「今日はこのカフェに行きました」と書き、ハンバーガー店の画像を紹介する人もいた。