どの親も子どもによい教育を受けさせたいと願うもの。しかし、身の丈以上の教育費をかけて日々の生活が苦しくなり、精神的に疲れ切った親の顔を見せることが子どもの教育にとって本当にいいことなのか。また、日本の家庭は家族全員でお金について話し合う習慣があまりない。その結果、お金に関するリテラシーが乏しくなり、多額の奨学金の返済に苦しむ若い世代を生んだ遠因のようにも思われる。
アベノミクスで成長戦略が軌道に乗って企業収益が回復し、それにともなって賃金がアップするにしても、まだ時間がかかる。その間に2%になるかどうかは別にしても、輸入品を中心に物価は少しずつ上がってくる。そこに追い打ちをかけるかのように、消費増税や社会保障の負担増が重くのしかかってくる。
「だからこそ人口構成に合わない社会保障制度の改革が急務なのです」と八ツ井さんがいうように、目の前の課題から目をそむけてはならないのだ。そして、日々の生活を見直すなかで、家族全員がお金に対する意識を変革させていくことが、一見遠回りのように思えても、実は大切な家計を落とし穴に入り込ませないようにする近道になってくれるはずだ。