「なんとなく不調」の原因は「冷え」と「水」

私のクリニックに「なんとなく不調」を抱えて来院される方の中には、事前に診察を受けた病院で、「慢性疲労症候群」や「自律神経失調症」などの病名を告げられたり、西洋医学的には「原因がよくわからない」という診断を受けた方も少なくありません。

漢方医学では、これらの症状を「水毒」と診断します。これらの「なんとなく不調」の原因が「冷え」と「水」であることは明らかだからです。

今や、多くの方が運動不足で、パソコンやスマホの画面を見つめ、水分をたくさん摂り、サラダなどの体を冷やす食品(詳しくは拙著『体温を1度上げると不調はすべて解消する』参照)を好んで食べる、といった生活を送っています。

このごく普通の生活が、知らず知らずのうちに体を冷やし、それによって、血行が悪くなって、代謝が下がる→排泄が滞る→体内に水分が溜まる→溜まった水分でさらに体が冷える、という悪循環に陥っているのです。

「交感神経」と「副交感神経」

寒さで体温が下がってくると、熱を逃がさないように皮膚の血管が収縮します。逆に、体温が高いときは、皮膚から熱を発散しやすいように血管が拡張します。

こうした血管の拡張や収縮を司るのが「自律神経」です。自律神経は体温や心拍、血圧、ホルモン分泌など、私たちが生きるうえで欠かせない生命活動をコントロールしています。

自律神経には、「交感神経」「副交感神経」の2種類があります。

交感神経は血圧や心拍を上げ、手足の血管を収縮させて体の中心に血液を集め、1日の活動に備えて体を“戦闘モード”にします。副交感神経は、逆の働きで、血圧や心拍を下げ、血管を広げて血流を高め、体を“リラックスモード”にするのです。

この2つの自律神経は常にどちらかが優位になることで、アクセルとブレーキのように働いてバランスをとっています。