合言葉は「チェーンストアは製造業である」

同社の根幹にあるのが「TQM=総合的品質管理」だ。「チェーンストアは製造業である」という信念のもと、売場・商品・サービスのすべてに“品質”という視点を持ち込み、日々の業務改善を全員参加で行う。TQMはその基盤を支える思想であり、手法である。原和彦社長は「TQMとはお客様に満足していただくための、組織的かつ継続的な経営活動だと考えています。それを経営の根幹に据えて、地道に取り組んできました」と語っている。だが、この高収益体質は、単なる出店拡大や価格政策だけでは説明できない。

1948年創業の長岡市の「原信」が始まり

アクシアルリテイリングは、新潟県長岡市に本社を置き、原信・ナルス・フレッセイなどの屋号で130店舗超を展開する。1948年に創業した原信を母体に、2000年にはナルスと、2011年にはフレッセイと経営統合し、現在のグループ体制を築いた。

原信ではQCの導入から40年以上にわたってパートにまで浸透させており、近年では「TQM(総合的品質管理)」をグループ全体に導入した品質経営が注目されている。

TQMとは、品質を起点に業務全体を改善していくマネジメント手法。製造業ではトヨタやソニーが導入し、現場改善や品質保証の分野で成果をあげてきた。

アクシアルではこの考え方をスーパーの現場に応用した。QCサークルや改善提案制度が導入され、現場の従業員が日々の業務から課題を抽出し、自ら解決策を考える土壌がある。2018年には小売業として初めて「日本品質奨励賞 TQM奨励賞」を受賞。TQMは「手法」ではなく、「文化」として根づいている。