支援者だけではつくれなかった環境
「犀の角」の劇場スタッフは、やどかりハウスの利用者を決して排除しなかった。たとえば朝から晩までカフェに滞在してお客さんに次々に声を掛ける人には「用務員ってことにしたらおかしくないかな」と、役を当てはめることで、関係性を捉え直す。
病院で長年ソーシャルワーカーとして働いた経験がある秋山さんは、どうしても「迷惑をかけてしまっていないか」と思ってしまうことが多かった。違う関係性を見出す劇場スタッフの対応を見てはっとしたという。
やどかりハウスの利用者が演劇制作の裏方に参加することもあった。福祉や支援の文脈では「困りごとを抱えて逃げてきた人」であっても、演劇制作の現場では大事な制作スタッフとして頼りにされる。中には、つい昨日まで「死にたい」と訴えていた若者が、演劇関係者と意気投合し「来年の公演も待っています!」と話す場面も。秋山さんはその様子に希望を感じた。
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