後継者が見つからない「職人技」をAIが受け継ぐ
古くからこの日本ではさまざまな分野において「職人技」が脈々と受け継がれてきましたが、こうしたベテランの技術は、時代の移り変わりや後継者問題などで継承することが難しくなってきています。
そうした課題に対し、AIを活用して解決しようという動きが現れています。AIがベテラン職人の技や経験を学習し、他の人間が再現できる仕組みを構築しようとしているのです。2つ事例をご紹介しましょう。
1つめは、学校の時間割作成です。
学校の時間割というのは、すべてのクラスの授業が重複せずにスムーズに行えるように配慮しなければならないため、時には何人もの先生が徹夜で作業するということもざらにあるようです。
実はこの時間割作成は、コンピューターが普及してからも容易に編成することはできなかったようです。なぜなら、授業のコマ数や教室の空き状況、各先生の都合など、あまりにも条件が多岐にわたり複雑だからです。たとえコンピューターを駆使してもすべての制約条件を満たす時間割の作成は難しく、結局はベテラン先生の「職人技」に頼らざるを得ない状況となっていました。
しかし、ベテランの先生に頼ることによるリスクもあります。学校の先生には転勤や定年がつきものだからです。ベテランの先生が他の学校に転勤になったり、定年を迎えてしまったりしたために時間割が作成できないなどということになったら大変です。そこで、こうしたベテランの先生の「職人技」をAIが継承する時代がやってきたのです。
ベテランの先生が過去に作成した時間割やさまざまな情報をAIが学習を繰り返すことで、最適な時間割を自動で編成できるようになり、先生たちの負担軽減に大きく貢献しているのです。
ただ、現在のAIでは、イレギュラーな授業や行事などが入って時間割を再編成することにはまだ対応できないようで、その作業は先生がその都度手作業で行っているようです。この先AGIが実現すれば、そうしたイレギュラーにも対応した完璧な時間割がAGIによって作成できるようになるでしょう。
