痛みを軽減するのもセロトニン神経活性の特徴です。セロトニンは脳内で痛みの伝わり方を和らげる“鎮痛剤”のような働きをします。大きな怪我がないのに痛みに悩まされているような場合は、セロトニン神経を活性化するように心がけてみるのも有効です。

外に出て太陽光を浴び、歩き歌うことが「セロ活」

では、どうすれば活性化できるのでしょうか?

大切なのは、セロトニンを脳内できちんと分泌させる生活習慣。

これが「セロ活」です。

・太陽光を浴びること。

・歩行関連の運動。ウオーキング・ジョギング・自転車漕ぎ(エアロバイク)・スクワット・階段昇降・トレッドミル・ステッピングマシンによる運動など。

・腹筋を使う「吐く」呼吸運動。丹田呼吸法(坐禅呼吸法、マインドフルネス)・ヨガ・太極拳・読経(念仏)・歌唱(合唱、カラオケ)・吹奏楽器の演奏・吹き矢など。

・しっかりと噛む咀嚼運動。硬めの食べ物を噛んで食べる・ガムを噛むなど。

こうしたセロトニン神経を活性化させる日常の習慣が「セロ活」です。これまでの実験研究で、これらの「セロ活」によって、脳内のセロトニンが増えることを証明してきました。

なぜ、太陽の光を浴びると、元気になれるのか

それでは「セロ活」に結びつく生活習慣の「コツ」を解説していきましょう。

まず太陽光。その恵みが植物のために不可欠であることは、誰も否定しないでしょう。では、人間にとっても、太陽の光は恵みとなるのでしょうか?

有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)
有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)

太陽光は日焼けやシミやそばかすの原因になるため、日焼け予防について注意を払っている人は少なくありません。また、夏場の強い太陽光に伴う高温が熱中症を発生させる危険因子として、注意喚起されることもあります。

ところが脳科学では、太陽光は、物や文字を見る視覚機能に不可欠の要素であることが知られています。網膜に入った視覚情報は人間の大脳に送られて、認知機能の大切な要素となるからです。

最近の脳科学研究では、その網膜への太陽光は、視覚機能とはまったく別のルートで、直接脳幹のセロトニン神経を活性化させることが判明しています。

すなわち、太陽光を浴びるという行為は「セロ活」の重要要素なのです。