逆に好きな人間の言葉なら、話が始まる前から笑顔でうなずいてしまいます。「うん、うん」とか「そう、そう」といった共感が生まれ、素直に耳を傾けることができます。

理性のフィルターより、感情のフィルターのほうがどうしても強く働いてしまうのです。

感情的にならないための「心構え」とは

わたし自身、常に「誰が話すか」より「何を話すか」を大事にしようと心がけています。これはこれで、自分が感情的にならないための大切な心構えだと思っているのです。

ただ、現実の会話の中では、そういう気持ちをつい忘れてしまうことがあります。

相手の言っていることは正しいと思っても、あまりに断定的な言い方をされたり、こちらを見下したような態度を取られたりすると、感情的な反発が生まれてしまうからです。

逆に、穏やかな話し方、誠実な話し方、ユーモラスな話し方、とにかくこちらの感情を解きほぐしてくれるような話し方の人に出会うと、ちゃんと聞く気持ちになります。「わたしとは考え方が違うけど、この人の言うことにも一理あるな」と納得することだってあるのです。

つまり、言葉のやりとりは意見や考え、あるいは知識や情報のやりとりのように見えても、じつは「感情のやりとり」の部分が大きいのです。

好意や愛情が憎悪に変わる瞬間

感情的になってくると相手への怒りがこみ上げてきます。「こんなやつ」とか「許さないぞ」といった気持ちがどんどん強くなります。

それから、相手が心の底から嫌いになります。もう、大嫌いだという気持ちになります。