生成AIが可能にしてくれる英語の学び直し

英語の学び直しにおける生成AIの活用法は、少し想像力を働かせれば、次のように枚挙にいとまがありません。

・自分が英語で書いた文章などを添削してもらう
・ベターな英語の言い回しを使った例文を提示してもらう
・英文法を解説してもらう
・英文の穴埋め問題を作成してもらう
・単語や表現集をテキストと音声で作成してもらう
・書いた英語日記の感想をテキストと音声で教えてもらい、質問してもらう
・時間と場所を選ばず、英語で話す相手になってもらう
・英語力を気にしないでAIと討論する
・AIと英語で世間話をする

実用的な英語、カジュアルな英語、アカデミックな英語。AIはどんな注文にでも対応してくれます。

AIと会話する人
写真=iStock.com/NicoElNino
※写真はイメージです

英語は教養か実用かの議論は意味がなくなった

ここで思い出してしまうのが、教養か実用かで堂々巡りし続ける日本の英語教育です。生成AIを活用すれば、もはや教養も実用もへったくれもありません。生成AIで両方のいいとこ取りができるのです。

生成AIの翻訳能力はすでに驚異的なレベルに達しています。同じく機械翻訳サービスを提供するドイツの「DeepL」やグーグル翻訳もその精度の高さで世界のユーザーから幅広い支持を得ています。

進化し続ける生成AIと機械翻訳。将来、研究やビジネスの場では、日英・英日の翻訳・英文の作成は、今以上に生成AIや機械翻訳サービスが補助的な役目を果たしてくれることになるでしょう。

となると、当然「そもそも英語を学ぶ意味はあるの?」という疑問が湧いてきます。私自身は、生成AIがこの先いくら進化しても、英語教育はこれからも必要だと思います。しかし、英語を学ぶ意義については、発想を180度変えなくてはいけないでしょう。もはや「教養か実用か」などと言っている場合ではありません。

中学ではしっかりと英文法の基礎を固め、高校からはむしろ生成AIや機械翻訳には頼ることのできない異文化理解など、人と人とのコミュニケーションに不可欠な対話型、かつ実用性の高い「自分だからこそ、使える英語力」を身につけることが極めて重要になってくるでしょう。

このように生成AIの時代を逆手に取れば、学生たちも安心して実用英語の習得に専念することができます。将来、学生が大学を卒業して研究者になり、身についた実用性の高い英語を使って、学会などの場で外国人研究者の輪の中に積極的に飛び込んでいけることになるでしょう。英語で込み入った雑談ができれば、人脈も広がるはずです。情報交換や情報収集もできるようになります。プレゼンで凍りつくこともなくなります。

英語の学術論文の作成や推敲、さらに翻訳・要約については、必要に応じて臨機応変に生成AIに補完的な役割を担ってもらえばいいのです。それらの作業にこれまで費やしていた膨大な時間を、他のことに有効活用することができます。

ビジネスの場でも同じです。「生成AIには頼ることができない自分だからこそ使える英語力」で商談やコンサルティング業務などを円滑に進めやすくなるでしょう。逆に、これができなければ、大きなビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。